緑ボンベを購入して「安く炭酸水をつくりたい!」「水槽で使いたい!」とお考えですよね?
この記事では緑ボンベの基礎知識から入手方法まで詳しく解説します。
そもそも「緑ボンベを自宅で使用するのに資格・免許はいるのか?」「安全に使用するにはどうすれば良いの?」に対するあいまいな回答がネット上に多く見られます。
今回は改めてビールメーカーやガス販売会社に確認を行い記事にしました。緑ボンベを使用する前に、ぜひ最後までご一読ください。
緑ボンベ(ミドボン)とは?
緑ボンベは、液化炭酸ガス(二酸化炭素)が充填(じゅうてん)された業務用ボンベのことです。ボンベの塗装色が緑色で統一されているため、「ミドボン」の愛称で親しまれています。
※画像引用:大東医療ガス
上記の画像は左からアルミ製5kg・アルミ製7kg、鉄製5kg・鉄製7kgです。酒屋などで流通している一般的なタイプは「アルミ製5kg」です。
液化二酸化炭素(液化炭酸ガス)を正確に表すと次のとおりです。
化学物質 | 二酸化炭素(CO2) |
CAS No | 124-38-9 |
国連分類 | クラス2-2(高圧ガス、非引火性) |
分子量 | 44.01 |
官報公示整理番号 | (1)-169 |
成分濃度 | 99.5vol%以上 |
ガスボンベの塗装色は「高圧ガス保安法容器保安規則」で次のように決まっています。
・炭酸ガスボンベ→緑色
・酸素ガスボンベ→黒色
・水素ガスボンベ→赤色
・その他のガス(プロパンガスなど)→灰色
緑ボンベの大きさ・重さは?(5kgの重量は14kgほど)
例えば「緑ボンベ5kg」であれば、液化炭酸ガスが5kg充填されています。
軽そうに思えますが…緑ボンベの容器が重たくて約10kgあります。アルミ製の緑ボンベのスペックは次のとおりです。
容量 | 緑ボンベ5kg |
---|---|
直径 | 17.5cm |
高さ | 55cm |
重量(ボンベ込み) | 13kg~15kg |
幼稚園児くらいの重量なので自転車に乗せて運べるよ。でもバランス取るのが難しいから倒れないよう気を付けて!
緑ボンベ5kgで炭酸水が500ℓ~700ℓつくれる!
コカ・コーラの場合、500mlのペットボトルに約3.5gの炭酸ガスが含まれています。3.5gだと、緑ボンベ5kgで714ℓつくることができます。ちなみに強炭酸水は4g~5g。およそ500ℓ~625ℓの強炭酸水がつくれます。
最強の炭酸「ペプシストロング5.0GV」の“GV”はガスボリュームの略だよ。500mlあたり炭酸ガスが5g入っている意味だよ。
緑ボンベ5kgを入手できれば、ペットボトル500mlが1000本以上つくれるわけです。
緑ボンベの購入・入手方法は?
緑ボンベを販売(レンタル)している取扱店は次の3か所です。
- 近所の酒屋(業務用スーパーなど)
- ネット(Amazon、楽天市場など)
- ガス販売会社
ひとつずつ見ていきましょう。
1.近所の酒屋で借りる
もっとも安価で手軽に入手できるのは酒屋です。ただし、どこの酒屋でも取扱があるわけではありません。
店名 | 購入可否 | 価格相場 | 補足 |
近所の酒屋 | △ | 2,500円~3,000円 (初回のみボンベ代+5,000円) |
販売されている酒屋が限られます。事前に電話で確認したほうが良いです。 |
業務用スーパー | △ | 2,600円~3,000円 (初回のみボンベ保証金+5,000円) |
販売されている店舗が限られます。事前に電話で確認したほうが良いです。 |
酒屋ビッグ | △ | 2,500円~3,500円 (初回のみボンベ保証金+5,000円) |
全店舗で取り扱いあるか不明です。 |
酒のやまや | △ | 3,000円前後 (初回のみボンベ保証金+5,000円) |
全店舗で取り扱いあるか不明です。 |
カクヤス | × | なし | 販売不可(ビールサーバーでの使用目的に限り購入可能) |
酒屋の相場は緑ボンベ5kgで2,500円(税別)~3,000円(税別)です。なお、緑ボンベ容器はレンタルになるため、初回は保証料5,000円(税別)がかかります。2回目以降は空のボンベを返品することで交換してくれますし、返品すれば5,000円が戻ってきます。
近所の酒屋で買ってみたところ、本体の保証料込みで8,092円(税込)だったよ。
(注意)酒屋の緑ボンベはビールサーバー用
実は酒屋で取り扱う緑ボンベは、アサヒビールやキリンビールなどがビールサーバー用に提供している販促品です。原則的に炭酸ガスなど別目的に使用するのはNGとなっています。
念のためビール会社に問い合わせたところ、次の回答をもらいました。
炭酸ガスボンベは、専用サーバー等での取り扱いを目的として販売しているため、家庭でのご使用は想定しておりません。
-アサヒビール株式会社 お客様相談室-
ガスボンベは業務用樽生ビール向けのため、飲食店様のみでの展開に限らせていただいている状況です。 万一炭酸ガスボンベを不適切に取り扱った場合、事故につながる可能性もございますので、ご家庭用としてのお取り扱いをお断りしている状況です。
-キリンビールお客様相談室-
想定外の使用方法で事故を起こされても、メーカーは責任を取れない。ということですね。購入できたとしても、自己責任での使用は前提となります。
私は近所の酒屋で緑ボンベを購入してますが、一度も用途を聞かれたことはありません。ただ、お店によっては厳しいところもあるようです。
カクヤスにミドボン頼んだらビールサーバ用としてしか売りませんって言われた。昔は売ってくれたのに。 ビールサーバに使いますって言ったら家の中に入って確認しますとまで言われた。きびしー。
— ちょ(ゆうちゃん) (@tyo) May 29, 2014
ちなみに水槽どの水草育成に緑ボンベを使いたい場合、アクアショップで販売されているケースが増えているようです。相場は初期費用18,000円、充填5,000円くらい。あとお店によってはボンベ検査費(5年ごと)に8,000円ある場合があるよ。
2.ネット(Amazon、楽天市場など)で購入する
近所に酒屋がない方や、「買いに行くのが面倒!」という方はネットでも購入できます。
緑ボンベ本体・送料込みの相場は10,000円~12,000円。2回目以降は空の緑ボンベ本体を返送することで保証料はカットできるので5,000円~7,000円の相場です。なお、空ボンベの返送料は自己負担になります。地域にもよりますが、返送料は2,000円~4,000円ほど。返送料込みで7,000円~11,000円が相場です。
ネットで販売される緑ボンベの多くは酒屋と同じ「ビールメーカーの販促品」です。購入にあたっては自己責任でお願いします。
高圧ガスを宅配便で送れるのか心配なところですが、緑ボンベは「不活性ガス」であり、かつ「20L以下のサイズのボンベ」という基準を満たしているので、問題なく配送できるよ。
あと、ネットで流通している緑ボンベは闇取引(グレー)なのか?疑問に思う方も多いとおもいます。メーカーに問い合わせたところ、次の回答をもらいました。
弊社のガスボンベがインターネット上で売られていることについては、いったん出荷しているため弊社の管理範囲を超えてはおりますが、状況をよりよくしていく観点から、私どもとしてもいくつかのEC企業様とその在り方についてご相談はしております。現状では各EC企業様の運営方針もあることからそのお考えを尊重しつつ、引き続きよりよい策を模索してまいる所存です。
-キリンビールお客様相談室-
緑ボンベ容器は、「ビールメーカー所有物」と、「販売し終えた(手元を離れた)」の2種が流通しているのかもしれません。ネットで流通しているのは後者のほうかもしれませんね。
メーカー側も現時点で大目にみてくれているけど…法律に違反した使用方法や事故が増えてくれば、必ず規制をかけてくるだろうね。
3.ガス販売会社で購入する
高圧ガスの卸売会社から購入する方法について。個人でも取引OKです。購入方法はガス会社によって異なりますが、大東医療ガスさんの例では次のようになります。
- (初回のみ)問い合わせ用メールアドレスを開設する
- (初回のみ)容器賃貸借契約書の提出
- メールで見積もり・購入など連絡する
- 代金の支払い(銀行振込・前払い)
※引用元:初めて高圧ガスを購入する際のお手続き
価格は炭酸ガスが5,500円(税別)。ガスボンベをレンタルする場合は月額1,000円(税別)です。配送料は別途かかりますが、自社配送(平日9:00~17:00)であれば送料無料です。
ガスボンベは買取りも可能でアルミ製36,000円/本、鉄製で26,000円/本。買取りの場合、空ボンベを返送して充填に1週間程度の納期です。また、5年に一度容器の耐圧試験(1本6,500円程度)を受ける必要あります。
堂々と炭酸ガスを購入できる方法は、「ガス販売会社」の一択だね。
緑ボンベの入手経路別の料金とランニングコストまとめ
酒屋・ネット・ガス販売会社のコスパを比較してみましょう。500mlあたり4gの強炭酸をつくるケースで試算すると、次のようになります。
購入先 | 合計 (送料・保証金込) |
500mlあたりのコスト | |
酒屋 (業務用スーパーなど) |
初回 | 8,500円(税込) | 6.8円 |
2回目~ | 3,000円(税込) | 2.4円 | |
ネット (Amazon、楽天市場など) |
初回 | 12,000円(税込) | 9.6円 |
2回目~ | 7,000円(税込) | 5.6円 | |
ガス販売会社 (ボンベ買取の場合) |
初回 | 50,000円(税込) | 40円 |
2回目~ | 10,300円(税込) | 8.2円 |
酒屋やネットでの購入方法はグレーですが、安く購入できますね。ただ、ガス販売会社で購入しても、2回目からは8.2円のコストなので、ソーダーストリームよりも圧倒的に安い計算です。ちなみにガス販売会社は送料(4,000円)を含んでいます。仮に自社配送で無料であればさらに安くなりますよ。
緑ボンベは資格・免許不要で自宅使用OK!(守るべき基準あり)
結論から言うと、免許や資格は不要で自宅で緑ボンベを使用できます。ただし、使用方法や保管方法は基準があるので必ず守ることが条件です。
緑ボンベ5kgの自宅保管は、量的に問題ありません。また、消火器の中にも入っているガスなので危険性は低いですが、窒息と凍傷にお気を付けください。40℃以下で直射日光に当たらない所で通風の良い所で保管してください。
-ガス販売会社の回答-
大事なことなのでもう一度言いますが、緑ボンベを個人宅で使用するのは法的に問題はありません。正しく使用する方法については次の章で説明します。
緑ボンベの正しい使用方法と・管理方法
高圧ガス保安協会(KHK)によると、緑ボンベ(高圧ガス)の使用方法について以下のように述べています。
購入した高圧ガスを使用するとき、また、使用しないで置いておくときには、それぞれ「高圧ガスの消費の技術基準」「高圧ガスの貯蔵の技術基準」を守る必要があります。また、使わなくなった高圧ガスを大気放出するなどして棄てるときには、「高圧ガスの廃棄の技術基準」を守る必要があります。
ー引用元:高圧ガス保安協会(KHK)ー
詳しく説明します。
「高圧ガスの消費の技術基準」「高圧ガスの貯蔵の技術基準」とは?
緑ボンベは二酸化炭素で可燃性ではないので、主に次の基準が該当します。
- 高圧ガスが入っている容器のバルブは静かに開閉すること
- 容器の転倒やバルブを損傷させないように、粗暴に取り扱わないこと
- 消費後はバルブを閉じ、また、容器の転倒やバルブが損傷しないようにすること
- 容器を40℃以下に保つこと
室温が40℃を超えないよう涼しい場所に置くことが大切です。あと、子どもがいる家庭は特に、勝手に開閉させないよう注意しましょう。
「高圧ガスの廃棄の技術基準」とは?
廃棄の技術基準は次のとおりです。
・ 容器に高圧ガスを入れたままで廃棄しないこと
・ 大気放出するときは通風のよい場所で少量ずつ行うこと
・ バルブは静かに開閉すること
・ 廃棄後はバルブを閉じ、容器の転倒やバルブが損傷しないようにすること
緑ボンベの使用後(あるいは使用途中)は、購入したお店に返却すれば問題ないでしょう。長期に渡り使用すると経年劣化の心配もありますので、できれば1年くらいで交換が望ましいですね。
緑ボンベの事故を防ぐための安全対策や応急処置など
二酸化炭素(液化炭酸ガス)という物質の特性を理解しておくことで、いざというときに冷静に対処できます。
項目 | 内容 |
危険有害性情報 | 液化ガス:熱すると爆発のおそれ。凍傷又は傷害のおそれ。 |
眠気又はめまいのおそれ。 | |
高濃度の二酸化炭素を吸入すると、窒息により死亡することがある。 | |
安全対策 | 屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。 ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。 |
耐寒手袋及び保護面又は保護眼鏡を着用すること。 | |
応急措置 | 吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい体勢で休息させること。 |
気分が悪いとき:医師に連絡すること。凍った部分をぬるま湯で溶かすこと。 | |
意識を失っている場合:衣服を緩めて呼吸気道を確保し人工呼吸を行う | |
皮膚の付着:凍傷の軽い場合は局所の摩擦だけで良い。重い場合は擦らず微温湯で加熱しガーゼなどで軽く包む。速やかに医師の治療を受ける。 | |
目に入った場合:清水で洗い速やかに医師の治療を受ける | |
保管 | 日光から遮断し、換気の良い 40℃以下の場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。 |
施錠等の措置をして、保管すること。 | |
廃棄 | 内容物/容器は勝手に廃棄せず、製造者または販売者に問い合わせること。 |
他の危険有害性 | 人の健康に対する有害な影響;高濃度の二酸化炭素を吸入すると、意識不明、昏睡となって死亡することもある。 |
液化二酸化炭素を大気中に放出すると、低温のガスと雪状のドライアイスとなり、これに触れると凍傷を起こす恐れがあり、眼に入れば失明のおそれがある。 | |
環境への影響;地球温暖化の原因である温室効果ガスの一つであるが、通常の状態では環境への影響は無い。 |
※出典元(1):昭和電工ガスプロダクツ株式会社
※出典元(2):(東京高圧山崎)液化二酸化炭素 THPG-007
二酸化炭素は不燃性ですが、周辺で火災が発生したときは圧力上昇を防ぐために次の処置を行います。
・移動可能であれば安全な場所へ移す
・緑ボンベの容器を水で冷やす
・移動できないときは弁を解放する(窒息のおそれがあるので近づかない)
炭酸ガスシリンダーへ充塡は法令違反になる可能性が高い
家庭用の炭酸水メーカー「ソーダストリーム」や「ドリンクメイト」を使用している方で、緑ボンベからガスを充填したい方も多いですよね。
専用のガスシリンダーに充填するためのアダプターがAmazonなどで販売され購入することができますが、次の基準を満たしていないと法令違反になります。
・容器検査及び容器再検査に合格した刻印等がされていること
・附属品検査及び附属品再検査に合格した附属品が装置されていること
緑ボンベやガスシリンダーは高圧ガス(1Mpa以上の圧縮ガスまたは0.2MPa以上の液化ガス)に該当するため、法令順守は必須です。法で定める検査に合格し刻印などされていない器具へ充填した場合、6ヶ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金が処されます。
※画像引用:経済産業省
<まとめ>
緑ボンベは適切に使用すれば、安全性の高い高圧ガスです。安全性が高いので個人宅で使用してもOK。免許も資格も不要なので胸を張って使用できます。
最近はインフレの傾向が続いているので、少しでも安く炭酸水や水草の栽培をつくりたいニーズが高まっています。
ただ、ユーザーが増えると…悲しいかな必ず愚か者がでてきます。無知のまま使用し法令違反となり、事故につながることもあります。そうなると規制がかかり、すべての緑ボンベ愛好家にとって不利益な事態になりかねません。正しい知識を身につけて安全管理は徹底しましょう。
今後も追記があれば更新しますので、ちょくちょく見てもらえれば幸いです。
コメント
業務用スーパーに何軒か電話した所、カードが使えない店舗では扱いがない印象だった